アンソロピックについて考えたこと | A Journal of Moments
この週末、アンソロピックに関する報道がなされていました。
トランプ大統領が政府機関に対し、アンソロピックのAI技術を使わないように指示したというものです。
アンソロピックはかねてから、自社の技術が軍事目的で使用されるのを拒否する姿勢を示していました。
う~ん、アンソロピックの気持ちはよく分かります。
そう言えば原爆が開発されたと聞いてショックを受けた科学者もいましたね。
アンソロピックの姿勢は多くの市民の共感を得られるでしょう。
けど私は「本当にそうかな?」と思ってしまったのです。
昔、少しだけ著作権について勉強していたことがあります。それまで私は発明の権利は発明家に帰属するのが当然と考えていました。
ところがどうもそうではないらしい。人類の共通知は皆で共有するのが当然で、例外的に、例えば世の発展を促すために著作権等の権利を認めているのだと。
私は法律の専門家ではないので、大きく誤解していてもご容赦いただきたいのですが、そんなとき頭の中で考えたのが「炎の開発者が権利を主張したらどうなる?」というストーリーでした。
数十万年前の地球、ある一人の人類が火の起こし方を発見しました。彼は自らの権利を主張しました。「これは俺が見つけたものだ。ほかの誰も真似することは許さない」
誰が彼の言葉に耳を貸すでしょうか?
みんな彼の言葉を無視して火の起こし方を学び、自由にそれを活用し始めるでしょう。むしろ彼自身も皆に火の起こし方
さて、その後炎は様々な軍事目的にも利用され始めました。
火矢や火薬などがそうです。けれど数十年前に炎を手に入れた人類が糾弾されることはありませんでした。
原爆だってそうです。原爆の開発責任を理論を発見した科学者に着せようとしたという話は聞いたことがありません。戦後直後は分かりませんが、アインシュタインを恨みに思っている原爆被害者はほとんどいないのではないでしょうか?
技術は平和なときは平和利用され、戦時には軍事利用されるというだけです。インターネットも初めは軍事目的に開発されたと言われていますが、その後は(平和的な)経済活動に利用され爆発的に広がりました。
それにアンソロピックがアメリカ合衆国に対して軍事利用をやめろと言ったところで、「悪しき敵国(具体的にどこの国とは言いません)」は、その技術を利用し、盗み、おそらくは自らの軍事目的のために使ってしまうだろうと考えられます。
残念ながらアンソロピックの判断は個別には共感を得ても、全体として見ると平和に反する行動とも言えるのです。
おそらく技術はニュートラルなもので、平和的な属性も軍事的な属性もないのでしょう。
そもそもAI技術だって、過去のリアル・インテリジェンスが獲得した成果を学び、活用しているに過ぎません。炎そのものを発明したというよりは、炎の使い方を工夫しただけです。これを誰かに使わせないというのは無理筋ではないでしょうか?
平和を愛する気持ちは大変に素晴らしいことです。だからこそ、何が真の平和に繋がるのかを考えて行動することが必要と思います。

