犬の散歩の天才

4歳の男の子がお母さんと一緒に我が家に遊びにきました。
その子は幼稚園に通っています。ただ毎日登園しているわけではありません。先生が出した指示に対して、周りの園児よりもゆっくりしかできないので、そのことで先生にあれこれ言われるのが嫌だったそうです。ひょっとすると、今はまったく幼稚園に通っていないのかもしれません。

我が家には犬が二匹います。その子は犬が苦手と聞いていたので、ペットサークルの中に入れておきました。ところが実際には少し話が違っていました。確かにその子は犬を怖がっていましたが、その割には犬に興味津々です。よくよく観察してみると、犬を怖がっていたのはその子のお母さんで、その影響でその子も犬が苦手になっていたようです。
「触ってみる? この子たちはおとなしいよ」
と提案してみました。初めは拒否していましたが、やがておそるおそる手を出し、犬に触ることができました。犬たちは子どもが触っても特に気にした様子はありません。

「散歩に行こうか?」
もう一歩踏み出して提案してみました。外に出ると、二匹のうち一匹のリードを持たせました。うちの犬は気が優しくて、リードの持ち手が変わったからといって急に走り出したりなんかしません。人間が歩くのと同じスピードで、時々道のにおいを嗅ぎながら、いつもどおり歩いていきました。その子は自分一人で犬の散歩ができたので興奮した様子でした。

家に帰ってから、
「散歩するの上手いね」
と褒めました。その子は照れたような笑みを浮かべました。

その子は1ヶ月後にまた我が家に遊びに来ました。
おそらくはお母さんに「もう一度行きたい」と言ったのだと思います。
お母さんに対して主張ができるようになったということは、ほんの少しだけ自信がついたのかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です